農地相続
農地相続に関する特例等
農地の相続や時効取得した場合には、農地法の許可を得る必要はありません。
これは農地法が相続など特定の場合を除き、農地の処分を制限することで適正かつ効率的に耕作する者に農地が取得されることを目的としているためです。
ただし、特定遺贈(遺言で指定した財産をあげること)においては法定相続人を除いて、許可が必要です。(平成24年農地法改正に伴うもの)
・一般的な相続の場合、相続税は(3,000万円+600万円×相続人数)に相当する部分までは控除され無税になります。
控除されて残った部分に相続税が課税されます。
・農地等を相続した相続人が農業を続ける場合には特例があります。
それは取得した農地等の価額のうち、農業投資価格による価額を超える部分に対する相続税額を猶予するというものです。
さらに、その猶予された税金は、次の内のどれかに該当した日に免除されます。
①その農地の相続人が死亡した場合。
②相続してから20年間農業を継続した場合。
③農地の全部を農業後継者に一括生前贈与し、その贈与税について納税猶予の特例を受ける場合。
◆農地を相続する場合は、農地法の改正により届出が必要になりました。
届出用紙は農業委員会にあり、登記が完了したことの書面の写し等が必要になります。(地域によって違いがあるので、各農業委員会に確認をして下さい。)
農地を相続した場合の届出は、被相続人の死亡を知った日から10ヶ月以内です。
期間内に届出を怠った場合は10万円以下の科料に処せられる場合がありますので、できるだけ早めに届け出をしてください。
農地の贈与
一般的な贈与の場合、贈与税は110万円に相当する部分までは控除され無税になります。
農地等の贈与を受けた場合、原則次の要件を全て満たせばその農地等の贈与税が猶予されます。
①贈与者が農地等を贈与する日まで引続き3年以上農業を営んでいたこと。
②贈与者が過去に納税猶予に係る一括贈与を行ったことがないこと。
③受贈者が贈与者の推定相続人の一人であり、18歳以上で贈与の日まで引き続き3年以上農業に従事していた者であること。
④農業の用に供している農地等の全部又は3分の2以上を一括して贈与者にに贈与すること。
⑤贈与者が借りている借地権も全て贈与すること。
※その農地での耕作をやめたり、譲渡・転用・貸付等をした場合などは贈与税と利子税を払わなければなりません。
相続時清算課税制度
65歳以上の親から20歳以上の直系卑属(子や孫)への生前贈与は2500万円までは非課税となり、相続の際に先行贈与分を相続時の相続財産と合計して相続税を課税する制度です。
贈与額が2500万円を超える場合、超過額は一律20パーセントの税率で課税されます。
例えばこの制度を利用して3000万円の贈与を受けた場合、超過額の500万円に対する100万円の贈与税が掛かることになります。
これを相続時の相続財産と合計し相続税から控除され、合計相続税が納付した贈与税より少ない場合は納付超過分が還付されます。
農地の区分と評価方法
土地の地目には、宅地・農地・山林・原野・牧場・池沼・鉱泉地・温泉地・雑種地などがあります。
農地はさらに次の4つに区分けされています。
①純農地
②中間農地
③市街地周辺農地
④市街地農地
①②は倍率方式で各地域の税務署が示す倍率をその固定資産税評価額に掛けます。なお固定資産税評価額を調べるには市長町村役場の固定資産課で調べられます。
③④は地域によって異なり宅地比準方式または倍率方式になります。
◆計算方法のまとめ
①② 固定資産税評価額×所定倍率
③(宅地とした場合の評価額-宅地造成費)×0.8
④ 宅地とした場合の評価額-宅地造成費
宅地造成費は各国税局ごとに定められています。
山林の区分と評価方法
山林も次の3つに区分けされます。
①純山林
②中間山林
③市街地山林
評価方法は農地とほぼ同じ①②は倍率方式③は原則宅地比準方式となっています。
◆計算方法のまとめ
①② 固定資産税評価額×所定倍率
③ 宅地とした場合の評価額-宅地造成費
山林などには縄延びといわれ実際の地籍が登記簿上の地籍より上回る土地が多いようです。この場合には次のような計算方法がとられます。
固定資産税評価額 × (実際の地籍×倍率) ÷ 登記簿上の地籍
●原野や牧場は山林の評価に準じて計算されます。森林内にある立木や果樹も評価の対象となり、土地の肥え具合を数値化した「地味級」、森林の植栽密度である「立木度」などをかけて評価します。
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